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J-GLOBAL ID：201602209949309081   整理番号：16A0369383

徳島大学附属図書館所蔵「伊能図」の彩色材料調査結果

Scientific Analysis of Painting Materials on Ino Maps in the Collection of Tokushima University Library

著者 (3件)： 吉田直人 (文化財研 東京文化財研) ,  早川泰弘 (文化財研 東京文化財研) ,  村岡ゆかり (東大 史料編纂所)
資料名： 保存科学  (Science for Conservation)
号： 55  ページ： 63-78,1(9)-1(14)  発行年： 2016年03月24日 
JST資料番号： Y0449A  ISSN： 0287-0606  資料種別： 逐次刊行物 (A)
記事区分： 原著論文  発行国： 日本 (JPN)  言語： 日本語 (JA)

抄録/ポイント： 徳島大学附属図書館所蔵の10枚の伊能忠敬らによる全国測定に基づき作成された実測地図,「伊能図」の科学的手法(顕微鏡観察,蛍光X線分析XRF,可視反射スペクトル測定)による彩色材料調査を実施した。推定された彩色材料は,江戸期の絵画や絵図への使用がすでに確認されているものであり,初めて見出されたものは存在しなかった。一方,調査対象10枚を「沿海地図」,「大日本沿海図稿」,「豊前国沿海地図」という3種の地図群として捉えると,彩色材料の組合せから,有用な知見が見えてきた。まず,1つの群の中では,色ごとに共通した材料また混色の組合せにより彩色されていることがわかった。一方,特に赤色と緑色に注目すると,各地図群間での材料に少しずつ違いがあるが,製作時期がほぼ同じ「大日本沿海図稿」と「豊前国沿海地図」では彩色材料の組合せの類似性が,「沿海地図」との間よりも高いことが分った。これらの結果は,彩色材料の入手や関わった人物・集団など,作成環境の地図群内の同一性,および地図群内での何らかの相違性,さらには年代による表現色の変遷を反映している可能性があると考えた。

シソーラス用語： *地図 ,  *発色 ,  *分析 ,  *非破壊分析 ,  分析機器 ,  蛍光X線分析 ,  反射スペクトル ,  混色 ,  組合せ
準シソーラス用語： *伊能図 ,  *材料分析

分類 (3件)： 染色・仕上げ一般  (YM06010J) ,  情報源  (AC03000B) ,  色  (BD03090A)

引用文献 (11件)：

• 田良島哲:伊能忠敬と日本図の歴史、江戸開府400年記念特別展 伊能忠敬と日本図、東京国立博物館(2003)
• http://www.lib.tokushima-u.ac.jp/~archive/table-i.html
• 吉田直人、早川泰弘、村岡ゆかり、杉本史子:重要文化財元禄および天保国絵図に使われた彩色材料と色彩表現に関する考察、保存科学、51、31-45(2012)
• 吉田直人、早川泰弘、礒永和貴:大阪商業大学商業史博物館所蔵「河内国茨田郡藤田村文書」絵図の彩色材料調査結果、保存科学、51、211-225(2012)
• 朽津信明、黒木紀子、井口智子、三石正一:顔料鉱物の可視光反射スペクトルに関する基礎的研究、保存科学、38、108-124(1999)

タイトルに関連する用語 (2件)： 彩色 ,  調査