抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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伊豆大島の斜面崩壊現場において,崩壊以前の森林が崩壊にどのような影響を及ぼしたのか評価することを可能にするため,植生タイプごとに単位面積あたりの木本植物の地上部および地下部現存量を推定することを主な目的とした。GIS上で被災地周辺の航空写真と現存植生図を重ねあわせ,崩壊前の現存植生タイプを推定した。被害発生地周辺の7箇所の調査地点に方形区を設置して胸高周囲長10cm以上の幹について毎木調査をおこない,林分構造を明らかにした。周辺の倒木を採取し,各林分の現存量を推定した。斜面崩壊前の植生の多くはオオシマザクラなどが優占する森林であり,隣接して,ヒサカキ-ハチジョウイヌツゲ林やスダジイ林などが認められた。推定された地上部現存量は,スダジイ林で最も大きく,次いでオオシマザクラ優占林,ヒサカキ-ハチジョウイヌツゲ林の順であった。地上部/地下部の重量比(T/R比)はオオシマザクラ優占林で2.9~3.8,ヒサカキ-ハチジョウイヌツゲ林で2.7~2.8であった。調査地点における森林の地上部現存量には,オオシマザクラ優占林とヒサカキ-ハチジョウイヌツゲ林との間に顕著な差は見られなかったが,T/R比は前者で大きい傾向があった。斜面崩壊発生時点での現存量(生重量)を推定できた。この結果は,地表面に与えていた負荷の評価等に利用可能である。(著者抄録)