抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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日本は,オホーツク海,日本海,東シナ海といった「縁辺海」と「北太平洋」に面しており,太平洋からみると縁辺海と大洋を隔てる列島の一部である。さらにベーリング海を含めたこれら北太平洋の縁辺海は,自然科学的視点からみても,人間活動の場として見ても多くの共通性と特異性を持ち合わせている。これらのすべての縁辺海には,大河川や,規模は小さいが数多くの中・小河川が流れ込むことで,陸域の影響が大きく現れる。これら河川を通じて陸からの物質を受け取り,縁辺海内部で起こる様々な物理的プロセスと生物的・化学的反応を介して物質循環が活発に起こっている場所である。これらの各縁辺海は,陸域の影響を大洋に伝える間の緩衝作用も担うと同時に,大洋の影響も強く受け,物質的にも暖流(黒潮)や寒流(親潮)で結ばれている。縁辺海の自然科学的な機能を明らかにすることは,東シナ海,日本海,オホーツク海を経由して,北太平洋へと至る,長大な物質循環システムを理解することに繋がる。本稿では,環オホーツク域の「陸海結合システム」という概念に焦点を当て,環オホーツク域で進めてきた研究で残されている課題と,日本の周辺領域も含めたさらに大きなスケールで陸海結合システムをとらえるための研究展開について記す。(著者抄録)