抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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通常出荷カキ(Crassostrea gigas)の栄養成分の経時的分析を行った。広島湾,高梁川河口および鹿児島湾に棲息する野生カキの生身,殻および底質について亜鉛(Zn)濃度を測定し,カキ養殖環境のZn循環を考察した。【材料と方法】2012年11月~2015年5月に広島北部海域で養殖・出荷された通常出荷カキと,2012,2013および2014年の7月に採苗し各々7カ月間の直吊育成した幼若カキとを材料とし,栄養成分とアミノ酸の組成およびZn含有量を測定した。太田川放水路河口,高梁川河口および永田川河口のテトラポットに付着・棲息する野生カキと周辺底質とを材料とし,生身,殻および底質のZnをICP発光分析法等で測定した。【結果】1)栄養成分のシーズン内別変動:Zn含有割合が他の栄養成分に先行して増加した。2)カキの成長と栄養成分:総エネルギーは幼若カキが通常出荷カキより高いが(p<0.01),ミネラルに占めるZnの含有割合は通常出荷カキが高かった(p<0.01)。3)環境中のZn濃度:底質Zn濃度は太田川放水路河口が高梁川河口より7.2倍高かった(p<0.01)。一方,太田川放水路河口と高梁川河口の野生カキが含有するZn量に有意差はなく,いずれも高値であった。また,カキ生身のZn含有量では,野生カキの方が養殖カキより高かった。【考察】太田川放水路河口および広島湾北部海域の底質のZn濃度は高く,野生カキのZn含有量は棲息環境の汚染度を反映し,また,調査した野生カキは底質Znを最大限蓄積する状態にあると考えられた。(著者抄録)