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J-GLOBAL ID:201702214217365306   整理番号:17A1911541

火葬古人骨の炭酸ヒドロキシアパタイトを用いた年代測定と食性解析

Radiocarbon dating and diet analysis of carbonate hydroxyapatite in cremated human bones
著者 (4件):
資料名:
巻:ページ: 102-107  発行年: 2017年03月31日 
JST資料番号: L6761B  資料種別: 逐次刊行物 (A)
記事区分: 原著論文  発行国: 日本 (JPN)  言語: 日本語 (JA)
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最近の研究により,火葬されて有機成分が残存していない骨に対し,骨の無機成分である炭酸ヒドロキシアパタイト(Carbonate Hydroxyapatite:CHa)を用いた14C年代測定の有効性が実証された(Lanting et al.,2001;Zazzo et al.,2011)。CHaは,高温(>600°C)で加熱されると結晶化が進み埋没後に続成作用の影響を受けにくくなることがその理由として挙げられる。そのため,結晶性の高いCHaを含む火葬骨は,生体由来の化学成分を保持でき,栄養段階の指標であるSr/Ca値やδ88Sr値などを分析することにより,14C年代だけでなく食性に関する情報も復元できることが期待できる。そこで,本研究では,仏教徒「貞慶」(AD 1155-1213)の遺骨とされる火葬骨のSr/Ca値及びδ88Sr値の分析を行い,貞慶が菜食であったことを実証できるかどうかを検討した。結晶性の高い火葬骨のCHaから得られた14C年代値は貞慶の没年(1213年)と矛盾しない結果であった。さらに,log(Sr/Ca)値は-2.79,δ88Sr値は-0.14~-0.13であり,いずれも草食動物の値(log(Sr/Ca)=-3.0~-2.5;Balter et al.,2002,δ88Sr値=-0.47~-0.13;Tuetken et al.,2015))の範囲であった。この結果は,貞慶が菜食主義であったことを示すものであり,考古学的な見解と一致している。これらの結果から,高温で加熱され,結晶性が高い火葬骨CHaは,生体由来のSr/Ca値及びδ88Sr値を保持しており,年代に関する情報だけでなく生前の食習慣を探るのにも有効であることが明らかになった。(著者抄録)
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