抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
下水汚泥のバイオガス化は,小規模の下水処理場において,新規に下水汚泥の消化槽を建設することはコスト面で困難である。期待されているのが,下水処理場内の消化槽に,下水汚泥に加えて地域で発生するバイオマスを投入して,消化ガス量を増大させる混合嫌気性消化技術である。混合消化のメリットとして,設備費を抑えながらバイオガス発生量を増加させることができること,発生する消化液脱離液は下水処理場の水処理設備を利用できることなどが,挙げられる。本研究は,下水汚泥との混合消化の基質としての稲わらの適用可能性を検討し,バイオガス化が十分可能であること,前処理法として破砕した稲わらを酵素溶液に浸漬させる酵素可溶化法が可能であることを,実験室レベルの基礎実験で明らかにした。消化槽に下水汚泥と可溶化(対下水汚泥18%)を投入し,消化日数を約30日とし,消化汚泥の固形物量と有機物量,発生ガス量とメタン濃度,COD,アンモニア性窒素を定期的に測定することで,稲わら投入の影響及び酵素処理の効果を中心に消化特性を評価した。汚泥単独と比較して,稲わらでは23%,酵素稲わらでは26%,発生ガス量が増加した。メタン含有率は,稲藁の添加により低下したが,低下率は僅かであった。また消化汚泥の上澄み成分に関しては,汚泥単独と比較して溶解性CODは30%程度高くなる一方,アンモニア性窒素は25%程度低くなったが,脱水工程の脱離液性状に顕著な変化は及ぼさなかった。なお,稲わら,刈草などは地域にとって貴重なバイオマスであることから,地域活性化の策としても期待される。