抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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筆者の研究活動の原点と筆者が国際学会の活動に取り組む背景を述べる。原点となったのは1960年代に聴講した東大工学部猪瀬博教授の当時最先端の電子情報システムに関する講義である。日立製作所が生育環境の最適制御により葉菜の生育が促進されるという研究成果を基に1970年代末に栽培用プラントを開発し,植物工場と商標登録した。しかし,コスト,技術面から研究成果の実現には不十分なものであった。そのため,栽培成果を巡り,施設園芸工学派と植物工場派の対立が発生した。対立は四半世紀続いたが,2009年の農商工連携に基づく大型施設園芸プラントと植物工場を含めた研究開発の開始により対立は解消した。この対立は結果として園芸施設の植物工場化への進化を促したといえる。また研究開発は現在,千葉大学,大阪府立大学,愛媛大学を中心に国家予算を投入し進んでいる。これらの基盤技術である養液栽培の歴史に簡単に触れる。筆者及び愛媛大学が西欧型太陽光植物工場(Computerized Greenhouse)を研究する背景とこれまでの経緯を紹介する。ついで,愛媛大学の植物工場研究センターの設立経過,施設の概要,研究テーマ,シーケンス制御,生体情報計測システムと気象情報など環境情報のビッグデータを利用する次世代SPA栽培システムを紹介する。また,システム制御の今後の研究方向や情報技術に関わる技術者の倫理などについて筆者の考えを述べる。最後に,平成28年4月に開催されたシンポジウムにおける閉会の挨拶を掲げて本稿の主題である農業分野におけるパラダイムシフトの話題を締めくくる。