抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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科学技術・イノベーションに対する政策形成では,客観的なエビデンスに基づく合理的かつ透明性の高いプロセスが求められている。我が国では,科学技術・政策研究所(NISTEP)が,イノベーション活動の状況・動向を把握するために,「全国イノベーション調査」を実施している。本稿は,最新の第4回「全国イノベーション調査」の結果を紹介し,日本の企業のイノベーション実施状況やイノベーション活動の実態等について,明らかにしている。全体的に見れば,イノベーション活動実施企業のうち研究開発を実施した企業の割合は44%にとどまり,プロダクト・イノベーションまたはプロセス・イノベーション実現企業の約半数は研究開発非実施企業であった。このことから,イノベーション実現おためには研究開発は必ずしも実施が必要な活動ではないと言える。研究開発以外のイノベーション活動の中では,先進的な機械等の取得に次いで,従事者に対する教育訓練が多くの企業で実施されていた。また,企業がイノベーションを実現する過程で直面した最大の阻害要因は,「能力のある従業者の不足」である。資金面の要因は高くなく,むしろ,「良いアイデアの不足」や「目先の売上・利益の追求」が,「能力のある従業者の不足」に次いでいる。企業が直面する阻害要因を緩和して,イノベーション活動の実施を促すことが,政策的な課題と考えられる。