抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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格子上の有限温度(2+1)フレーバQCDにおいて,勾配フロー法を適用し,トポロジカル荷電とその感受率を計算した。Iwasakiゲージ作用と非摂動的にO(a)改善されたWilsonクォークの下で,a≒0.07の細かい格子上でシミュレーションを行った。このシミュレーションにおけるホッピングパラメータはκ<sub>u</sub>=κ<sub>d</sub>=0.1356,κ<sub>s</sub>=0.1351と取った。これらは,重いu,dクォーク,m<sub>π</sub>/m<sub>ρ</sub>≒0.63,および,ほぼ物理的なsクォーク,m<sub>π</sub>/m<sub>ρ</sub>≒0.63に対応する。T≒174MeV(N<sub>t</sub>=16)から697MeV(N<sub>t</sub>=4)の温度範囲で,トポロジカル感受率の2つのトピックスを調べた。1つは,トポロジカル感受率のグルーオン型とフェルミオン型の定義の比較を行った。2つの定義はカイラルWard-Takahashi恒等式によって関係付くため,有限格子間隔でカイラル対称性を陽に破る格子クォークに対しては,それらの等価性は自明でない。勾配フローにより,カイラル対称性が破れていることに煩わされることなくそれらの比較が可能になる。T≦279MeVに対して,これら2つの定義による結果はWilsonクォークに対してでさえ非常によく一致することを示した。連続への外挿は行っていないが,異なる方法でのよい一致は,この論文の格子計算結果がすでに連続極限に近いことを示唆しており,結果は定量的に信頼できる。他のトピックスは,宇宙の進化における暗黒物質の候補としてのアキシオンの研究に関連した,希薄インスタントンガス近似の予言との比較である。トポロジカル感受率は,3フレーバQCDに対する予言χ<sub>t</sub>∝(T/T<sub>pc</sub>)<sup>-8</sup>と無矛盾なTに関する減少を,低い温度T<sub>pc</sub><T≦1.5T<sub>pc</sub>においてでさえ示すことがわかった。ここで,T<sub>pc</sub>は,擬臨界温度を表わす。