抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本研究は,漢字書字の重度低成績に関与する,漢字書字学習の基礎スキルの背景複合要因について明らかにすることを目的とした。小学2年生~6年生の児童3050名を対象とした。漢字書字の基礎スキルを評価するために,漢字部品検出テスト,漢字部首テスト,筆順テスト,漢字読字テストを行い,以下の結果を認めた。小学2年生~6年生において漢字書字テスト成績が0-5パーセンタイル値を示す者は,有意に無回答を多く示した。これより,漢字書字テスト成績が下位0-5パーセンタイル値を示す者を,漢字書字の重度低成績者とした。本研究では背景複合要因を検討するためにCHAID分析を行った。CHAID分析の結果,全ての学年において,漢字読字テストが10パーセンタイル以下の成績を示す者と11パーセンタイル以上の成績を示す者で,漢字書字テストの成績分布が有意に異なった。漢字読字テストが10パーセンタイル以下の者を区分Iとした。小学2年生で区分Iの者は,次いで特殊音節テストが10パーセンタイル以下の成績を示す者(区分I-1)と,11パーセンタイル以上(区分I-2)の成績を示す者に区分された。小学5年生,6年生で区分Iを示す者は,漢字部首テストの成績により区分I-1と区分I-2に分かれた。多重ロジスティック回帰分析の結果,小学2年生~6年生の区分I,区分I-1の者は,重度低成績となるリスクが40.9-51.2倍となった。区分II-1の者は,重度低成績となるリスクが8.5~24.6倍となった。以上の結果より,漢字読字書字困難の支援にあっては,漢字読字テストが低成績を示す者に対して,背景要因の重複を回避するための指導を行うことが有効であることを指摘できる。(著者抄録)