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J-GLOBAL ID:201802224346024392   整理番号:18A1492925

ミュオンg-2/EDMの精密測定を実現するミュオン高周波加速

RF Acceleration of Muon for the Realization of Precise Measurements of Muon g-2/EDM
著者 (3件):
資料名:
巻: 73  号:ページ: 564-568  発行年: 2018年08月05日 
JST資料番号: F0221A  ISSN: 0029-0181  CODEN: NBGSA  資料種別: 逐次刊行物 (A)
記事区分: 解説  発行国: 日本 (JPN)  言語: 日本語 (JA)
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ミュオンはスピンに伴う磁気双極子能率・電気双極子能率を持つ。それぞれボーア磁子を単位として,無次元量ランデのg因子とηを用いて表される。ディラック方程式の最低次では,g因子は2となるが,量子論的効果により,g因子は様々な相互作用に起因する量子補正を受ける。このズレをg-2あるいは,aμ=(g-2)/2と表し,異常磁気(双極子)能率と呼ぶ。また,電気双極子能率の大きさを示す無次元量ηは,パリティ(P)時間反転(T)対称性を破る相互作用により決定される。g-2は素粒子標準理論で精密に計算することができ,実験値と予想値のズレを測ることで標準理論を超える物理現象の有無を探ることができる。ミュオンのg-2の測定は1960年代にCERNで測定が行われて以来,60年近い歴史がある。先行実験である米国BNL E821実験はミュオンaμを0.54ppmの精度で測定した。これは標準理論の予想値よりも約3σ大きい値になっていることがわかった。標準理論の計算は様々な実験データによって精度が向上している一方,aμの測定をこのような精度で行ったのはBNLの実験だけである。素粒子の電気双極子能率(EDM)はP対称性・T対称性を破る物理量である。CPT定理を仮定すれば,T対称性の破れはCP対称性の破れを意味する。標準理論ではEDMは極めて小さな値を持つと予想されている。EDMの測定においては有限値は得られておらず,BNLの実験より上限値が与えられている。著者らは,大強度陽子加速器施設J-PARCにおいて,エミッタンスが極めて小さいミュオンビームを用いて,従来とは全く異なる方法でg-2とEDMを精密測定する実験を準備している。そのようなビームを生成するためには,ミュオンを一度静止したのち,再加速することが必要であるが,ミュオンの高周波加速はこれまでに前例がなかった。本実験計画のため,著者らはミュオン専用の高周波加速器の設計に着手した。粒子加速のために粒子に同期して高周波加速電場を印加するには,速度変化に応じて加速器の構造を変える必要がある。ミュオンの質量は電子よりも約200倍大きく,陽子の9分の1である。よって,電子・陽子とミュオンでは同じ加速エネルギーでも速度変化が異なる。さらに,ミュオンは有限の寿命を持つため,高効率で加速しなければならない。これまで陽子加速器・電子加速器で培われてきた加速技術を応用し,ほぼ静止したミュオンを212MeVまで加速するミュオン線形加速器の基本設計を行った。次のステップはミュオン高周波加速の実証であった。2017年10月に,J-PARCのパルスミュオンビームを用いて,ミュオニウム負イオンをほぼ静止した状態から高周波加速空洞を用いて90keVまで再加速する実験を行い,再加速されたミュオニウム負イオンを確認した。ミュオンそのものではないが,ミュオン加速とミュオニウム負イオン加速は技術的には等価である。今回成功したミュオニウム負イオンの加速により,新しいg-2/EDMの精密測定の実現のマイルストーンが達成された。(著者抄録)
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分類 (2件):
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中間子と中間子共鳴  ,  加速器一般及び理論 
タイトルに関連する用語 (4件):
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