抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
2011年の東日本大震災後,被災者に対する借り上げ住宅プログラムは,災害によって住宅を失った世帯のための一時的な住宅として,60,000以上の民家の住宅を提供した。借り上げられた住宅の数は,新たに建設されたプレハブ式仮設住宅の数を超えていた。被災地域における被害者は,被害を受けた彼らが元々住んでいた市町村だけでなく,津波で被災しなかった,彼らが住んでいた市町村から離れた地域においても,この借り上げ住宅プログラムによって借り上げ住宅に居住した。利用可能な住宅は被害地域において非常に急速に取得され,津波被害沿岸地域に利用可能な賃貸住宅はほとんどなかったため,初期段階の間に彼らが元々住んでいた市町村に賃貸住宅を見出すことができなかった世帯は他の市町村に移動しなければならなかった。その結果,そのような世帯は元の場所から他の市町村に移動した。この住宅の移動は,恒久住宅が再建される場所の数に影響を及ぼす。被災地域における災害復興プロジェクトは,延長された期間を超えて実施され,世帯が仮の住宅に住んでいる期間は数千日に達する。彼らが元々住んでいた町における復興プロジェクトの完了を待つことができない被災者は,彼らの借り上げ住宅の敷地の近くで,新しい住宅の再建を始める可能性がある。あるいは,それらの仮設住宅周辺の地域に親しんだ世帯は,その地域または市町村に滞在することを決定する可能性がある。結果として,彼らの元々住んでいた市町村に戻ることを意図する被災世帯の数は,時間とともに減少する。居住者が借り上げ住宅から退去した後の住宅が再建された場所の数における市町村間の人口移動の影響を調べるために,岩手県の災害後6年の賃貸契約終了後の約3,000件と賃貸契約終了後の約2,000件の住所を分析した。分析により以下の結果を得た。(1)被災世帯の約80%は,災害後に借り上げ住宅に移転してきてから,通例2年または6年後に,また5年後に,借り上げ仮設住宅から退去している。(2)災害前に岩手県に住んでいた世帯の1/4が,他の市町村において新たな恒久住宅を再建した。世帯のこの移転は,都市域における小都市から大都市への移動として主に見られる。この借り上げ住宅プログラムを通して元の市町村から移動する世帯の場合には,世帯の60%が戻らなかった。(3)岩手県外からの世帯では,県内の半分が県に戻り,40%が,彼らの借り上げ住宅が位置している市町村に自力再建している。この分析の結果により,この借り上げ住宅プログラムが災害後における住宅移転の変化,特に農村地域の小都市から大都市への移動を促進することが明らかになった。将来において,この実態は,大規模災害後の仮設住宅の供給のための借り上げ住宅プログラムの実施において考慮される必要がある。(翻訳著者抄録)