抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
長周期特性と強震動を伴う継続時間の長い地震が,2003年十勝沖地震と2011年東北地震で観測された。以前の研究では,免震建物が,地震の周期特性が免震構造の固有周期に近い地震を受ける可能性があることに言及した。鉛ゴム支承(LRB)の強度は,それらによる地震エネルギーの吸収によって引き起こされる「鉛プラグ加熱」によって低下する可能性がある。従って,そのような地震に対処できる免震建物を設計するために,LRBの降伏力の様々な依存性を特徴付けることが重要である。本研究の目的は,地震時のLRBの降伏力の劣化に関するこの問題を明確にし,繰返し載荷試験におけるLRBの降伏力を評価する方法を提案することである。著者らは,LRBの降伏力に影響を及ぼす因子が,ゴム支承(RB)のインタセプト力,LRBの変形速度,および鉛プラグの温度であると考える。本論文では,LRBの降伏力を,RBのインタセプト力と鉛プラグの降伏力の和として定義した(図1,Eq(1))。最初に,剪断歪,剪断歪速度,および環境温度に対する依存性試験を,RB試験体について実施した(表2,3)。RB試験から,RBのインタセプト応力のための評価式を,高精度のEq.(5)として記述した(図6,8,9)。次に,RB試験と同様に,LRB試験体に対する様々な依存性の試験を行った。鉛プラグの降伏力を,Eq.(1)で用いた同じ条件下でRBとLRB試験の結果から計算した。上記の試験から,剪断歪速度の分類ごとに検討したとき,鉛プラグの降伏応力と温度の間に密接な相関があることが明らかになった。鉛プラグの降伏応力の評価式を,-25°C~300°Cの範囲でEq.(6)として高精度で記述した(図17)。提案した式(Eq.(1),(5),および(6))は,温度上昇に関する降伏応力の減少が以前の研究より少なかった(図20)。LRBの降伏応力と温度との関係に関する以前の評価式を,実験データを欠く外挿の高温範囲で記述した。したがって,以前の研究から得られた方程式は,鉛プラグの温度が以前に実験で確認した温度以上に上昇した場合に不正確であるかもしれない。提案した式の妥当性を確認するため,縮尺から実物大までの種々のサイズのLRBに対して動的載荷試験を実施した。その後,実験結果を,提案した式を含む熱-力学相互作用解析から得たデータと比較した。熱拡散を考慮するため,2種類の解析方法,すなわち,定フラックス解法(CFS)と有限差分法(FDM)を使用した(図21)。上記の試験から,熱-力学相互作用解析に適用した提案式が,繰返し荷重におけるLRBの力学的挙動と温度変化を正確に予測できることを確認した(図23~25)。(翻訳著者抄録)