抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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剪断壁の偏心配置はねじり振動をもたらし,これは過去の地震における多数の木造住宅の崩壊あるいは厳しい損傷の理由のひとつである。したがって,偏心率R
eが,剪断壁の配置の妥当性を確認するために日本の建築基準法において定義されている。R
eは各層と各方向で計算されるが,別の層との間の相互作用を考慮していない。例えば,層には偏心がないにもかかわらず,別の層の偏心によってねじり応答が起きることがある。そのような現象はR
eによってシミュレートされない。日本の木造住宅の大部分は2階建であり,それらのうちのいくつかにはセットバックがある。さらに,通常,下の層にはより大きい偏心があり,上の層は偏心が小さい。上述のようなねじり相互作用は,木造住宅の変位モードに影響を及ぼす可能性がある。本論文では,偏心がある2階建て木造建造物の変位モードの予測手法を提案し,その適用性を検討した。単一層構造を考えるとき,ねじり応答を含む動的変位モードは,固有値方程式を解く代わりに,著者らの先の方法によって近似できる。したがって,最初に,相互作用のない各層の変位モードを評価し,相互作用効果をそれに加えた。重要な考えは,実用的な簡便な式を与える「力依存Ritzベクトル」に基づいている。構造は線形弾性であり,一軸偏心と無限剛性床ダイヤフラムを持つと仮定した。一方向地震入力を考慮した。本論文の知見は以下の通りである。1)上下階間の相互作用を考慮したねじれ変位モードの予測手法を提案し,数値解析との比較により精度を確認した。2)下層階におけるねじれは上層階による影響を受けないが,上層階におけるそれは下層によって明確に影響される。3)偏心を有する層は,偏心の無いものに比べ,明らかにより少ない横方向の層剛性を有し,結果として大きい層間変形角をもたらした。4)上層階と下層階における偏心率の差が0.15を超える場合は,上層と下層の間のねじれの相互作用を考慮しなければならない。もしそうでなければ,それは無視できる。本研究では,各層で異なる長さの偏心を有する多階建築の代表として2階建て木造住宅に着目した。他方,上部構造に偏心がある免震建物には同じ問題があり,提案した方法はそのような構造に適用できる。本研究は一軸偏心を有する線形弾性構造を検討したが,非線形性および二軸偏心のような問題は将来の研究で調査されるであろう。(翻訳著者抄録)