抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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滑り帯で到達した最大温度は地震時の滑り挙動を理解するための重要な情報であるので,炭素質物質(CM)の成熟度は断層岩によって記録された摩擦熱を検出するための代理値として広く使われている。CMの成熟度は最大温度だけでなく加熱速度によっても制御される。それにもかかわらず,最大滑り帯温度は,地震時の実際の加熱速度よりもはるかに低いものの,天然断層岩のCMの成熟度を約1°C/sの速度で加熱した合成生成物のそれと比較することによって以前は推定されてきた。本研究では,遅い速度(1°C/s)および速い速度(100°C/s)で加熱したCMの有機化学分析を行うことにより,CM成熟過程に及ぼす加熱速度の運動論的影響を調べた。結果は,より高い加熱速度がCMの成熟反応を阻害できることを明確に示し,例えば,脂肪族炭化水素鎖の消光は,1°C/sの加熱速度で600°Cで起き,100°C/sの加熱速度で900°Cで起きた。しかし,せん断強化の化学力学的効果もまたCM成熟反応を促進し,高加熱速度の影響を相殺する可能性がある。したがって,CMの成熟に及ぼす加熱速度と化学力学の両方の影響を同時に考慮し,断層岩により記録された摩擦熱,および地震時の滑り挙動の推定に対するより厳密な代理値としてのCMを確立しなければならない。(翻訳著者抄録)