抄録/ポイント：
抄録/ポイント
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背景と目的。著者らは,日本の国産材の利用を促進するため,斜め格子パネル(DLP)をウェブに,構造用単板積層材をフランジに用いたI形梁(I梁)を開発した。DLPは,一定の格子間隔で45度に配置した2層の斜め積層材から成り,断面が高性能な梁を構成することができる。先行論文では,曲げと剪断における強さ,剛性,応力分布を含むI梁の短期的な力学性能を報告した。その研究結果は,このI梁には一定の剪断応力における長さ効果があることを明らかにして,設計方法が設立された。本報告は,曲げと剪断での長期載荷試験におけるその特性に焦点を合わせた。本論文の本質的な目的は,短期荷重と同様に,長期荷重においても長さ効果が存在するか否かを確認することである。研究の概要。1.DOL係数とクリープ特性を入手するため,空調の無い施設で長期試験を行った。曲げ試験のスパンは3990mmとし,三等分の二点で載荷した。剪断試験は,1500mmスパンの中央に集中荷重を適用した。2.DOL試験は,曲げの3つの応力水準と剪断の5つの応力水準で行った。50年後の強度を,常用対数目盛の荷重継続時間と応力水準の間の線形回帰の式によって推定した。短期試験の平均強度に対する50年後強度の比率をDOL係数と定義して,曲げと剪断の両方においてそれらは約0.52であった。3.月平均温度と湿度の間のクリモグラフは季節変動を示している。破壊までの時間と載荷中の温度の間で強い相関が観測された。4.著者らの先行研究で,短期的剪断強度における長さ効果を,長さ比の指数-0.252の関係として見出した。本論文における試験結果でも,短期試験と同様に長期荷重における長さ効果が見られた。この結果は,各部分が木目に平行な軸方向に強いため,一般的に合成ラチス構造物にはこのような長さ効果があることを示している。5.クリープ試験では,35日間とそれ以上,最大4カ月まで荷重を適用した。50年間の相対的クリープは,対数時間則によると,曲げと剪断の両方において約1.5であった。この値は,メカノソープティブクリープ,すなわちMSクリープ含むため,実用には適切であると考えられる。このI梁のような合成梁は,各部品が木目に平行な軸方向で抵抗するため,普通木材のようなクリープ性状があると考えられる。6.MSクリープは時間-たわみ時刻歴で観察された。クリープ性状は,台風と雨気候による高湿度によって度々影響を受けた。特に大きいクリープが台風21号の接近で観察された。それは他の先行研究における調査結果と一致した。剪断におけるMSクリープは,I梁のウェブが薄いため,曲げより相対的に大きい傾向があった。7.このI梁のクリープ限界を,杉山によって提案されたクリープ関数法によって推定した。この方法では,異なるレベルの荷重を同様に適用し,クリープ関数が劇的に変化した時の荷重値をクリープ限界と定義する。本方法に基づいて,I梁の剪断におけるクリープ限界は,応力水準の0.52~0.58であると推定した。8.I梁と小試験片の各ウェブ材料(DLP,構造用合板,およびOSB)の間で剪断クリープ特性を比較した。剪断クリープは45°方向でのウェブ材料のクリープ特性に依存すると考えられ,DLPを用いたI梁の剪断クリープはOSBや構造用合板を用いたものより小さかった。(翻訳著者抄録)
