カイラル反強磁性体[NH4][Mn(HCOO)3]の磁気状態図とカイラルソリトン相

ICHIRAKU Yoji; TAKEDA Rikuho; SHIMONO Seiya; MITO Masaki; KUBOTA Yoshiki; INOUE Katsuya; KATO Yusuke

文献

J-GLOBAL ID：201902258295816293 整理番号：19A2331156

カイラル反強磁性体[NH₄][Mn(HCOO)₃]の磁気状態図とカイラルソリトン相

Magnetic Phase Diagram and Chiral Soliton Phase of Chiral Antiferromagnet [NH₄][Mn(HCOO)₃]

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資料名：
巻： 88 号： 9 ページ： 094710.1-094710.10 発行年： 2019年09月15日
JST資料番号： G0509A ISSN： 0031-9015 CODEN： JUPSA 資料種別：逐次刊行物 (A)
記事区分：原著論文発行国：日本 (JPN) 言語：英語 (EN)

本研究では,分子ベースのカイラル反強磁性体[NH4][Mn(HCOO)3]のミリサイズの単結晶を合成した。結晶は光学的に透明で,空間群P6322に属する六方晶系結晶構造を持つ。dc磁化率,磁化曲線(M-H曲線),M-T曲線,ac磁気応答,および熱容量を測定して,螺旋軸に垂直な磁場下の磁気状態図(すなわち,H-T状態図)を研究した。T*≒8Kに連続磁気相転移を見いだしたが,転移は最高5×104Oeまで磁場に弱く依存した。T=0Kに対する飽和磁場は,M-H曲線の外挿から,Hst(T=0)=1.41×105Oeと評価した。T*より下で数百Oeのオーダの臨界磁場Hc(T)により分離した2つの磁気相を発見した。TとHの関数としてac線形応答の位相がずれた成分の鋭いピークから,H=Hc(T)での不連続遷移が示唆された。H<Hc(T)でM-H曲線に下向き凸性(すなわち,d2M/dH2>0)とH≒Hc(T)付近に非零の3次高調波ac応答を見いだした。これらの観測結果を基に,反強磁性カイラルソリトンが凝縮し,H<Hc(T)で磁気相中に格子あるいは液体を形成し,一方,Hc(T)<H<Hst(T)での磁気相は傾斜反強磁性相であると論じた。1軸カイラル反強磁性体のスピン模型に対する平均場理論と実験結果を比較し,M-H曲線,M-T曲線,状態図に関して定性的な一致を見た。著者らの計算から,2つの磁気相の間の不連続転移は,引力相互作用を持つカイラルソリトンの凝縮によって起こると示唆された。零磁場での反強磁性螺旋構造の周期は,Hst(T)/Hc(T)×[格子定数]のオーダと評価したが,これはサブミクロンスケールになる。(翻訳著者抄録)

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有機化合物の磁性

引用文献 (91件)：

I. Dzyaloshinsky, J. Phys. Chem. Solids 4, 241 (1958).
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