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J-GLOBAL ID:201902273480811885   整理番号:19A0898171

クワ葉の機能性成分含量を高めるための環境要因および適性品種の選抜と育種に関する研究

Study on Environmental Factors for Specific Functional Component Increase in Mulberry (Morus alba L.) Leaves with Selection and Breeding of Suitable Cultivars
著者 (1件):
資料名:
号: 46  ページ: 30-89  発行年: 2019年03月29日 
JST資料番号: Z0431A  ISSN: 0388-905X  資料種別: 逐次刊行物 (A)
記事区分: 原著論文  発行国: 日本 (JPN)  言語: 日本語 (JA)
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本研究は,近年食品の機能性成分が注目されクワ葉の食品利用が増加していることから,原料となるクワ葉に含まれる機能性成分含有量の向上を目的として行った.品種および栽培条件の両面から,葉中機能性成分を増加させるための条件を検討した.1.クワ葉に含まれる機能性成分含量の品種間差および品種改良;品種による機能性成分含量の違いを明らかにし,育種の基礎的知見とするために176品種の機能性成分:フラボノールおよびDNJの葉中含量を調べた.176品種間におけるフラボノール含有量と組成およびその割合には幅広い品種間差異が認められた.フラボノールを最も高含有する品種は‘小渕沢1号’であり,最も少ない‘御蔵島15’のフラボノール総量の約5倍であった.多くのクワ品種においてケルセチン3-(6-マロニルグルコシド)(Q3MG)が最も多く含有されていたが,一部の品種はQ3MGをまったく含有しなかった.また,ケルセチン3-(6-アセチルグルコシド)(Q3AG)は‘毛桑’にのみ含まれた.交配後代を用いてクワ葉の主要フラボノールであるQ3MGの遺伝様式を調べた結果,Q3MG合成に関与するマロニル基転移酵素は単一遺伝子でメンデル遺伝することが明らかになった.また,交雑実生において高含有個体が得られたことから,交雑育種による高含有個体獲得の可能性が示唆された.品種間差の結果をもとに,Q3MG含量の高い交配親を選定し,4倍体の‘四倍性桑’を種子親,2倍体の‘国桑第21号’を花粉親としてクワの品種改良を行った.その結果,Q3MG含量が‘一ノ瀬’より1.4倍高く,収量性も高い3倍体クワ品種‘蒼楽’を育成した.‘蒼楽’は2013年4月に品種登録出願を行い,2015年に品種登録された.2.栽培環境条件がクワ葉に含まれる機能性成分含量に及ぼす影響;葉中フラボノールおよび1-デオキシノジリマイシン(DNJ)含量に対する日照の影響を,クワ鉢植えを用いた栽培条件の比較(多日照:屋外,寡日照:ガラス室)により調査した.フラボノールはガラス室の遮光により合成が阻害され,屋外に比べフラボノール含量が著しく減少した.また,ガラス室栽培後屋外へ移動した個体のフラボノール含量は常時屋外栽培より増加し,その増加程度は葉位により異なった.上位葉では屋外より有意に高くなったが,中位葉は屋外と同程度,下位葉は屋外に比べ有意に低く,フラボノール合成に対する日照の影響は若い葉ほど強かった.一方DNJ含量はガラス室栽培が屋外より高くなったがその違いはわずかだった.日照条件は,フラボノールおよびDNJ含量に影響を与えることが明らかとなり,増加させるための日照条件はフラボノール,DNJで異なった.また,現地栽培圃場の異なる条件で栽培されたクワ葉中の無機成分とクワ葉中機能性成分の関係を調査した.現地栽培圃場のクワ葉に含まれる無機成分と機能性成分含量には,窒素含量とクロロゲン酸に負の相関が,窒素含量とDNJ含量に正の相関認められた.さらに,ポット試験および圃場試験により窒素施肥量が葉中機能性成分含有量に与える影響を検討した結果,窒素施肥量と機能性成分含量の関係において,窒素施肥量が多くなるほどクロロゲン酸含量およびフラボノール含量は有意に低くなったが,DNJ含量は有意に高くなり,窒素施肥量がそれぞれの葉中機能性成分含量に与える影響が明らかとなった.目的に応じた適切な窒素施肥量を設定することにより,機能性成分含量を増加させられる可能性が示唆された.3.クワ葉に含まれる機能性成分の季節変化;クワ葉の機能性成分含量が高い収穫時期を明らかにするため,クワ栽培期間におけるサンプリング葉中のフラボノール,クロロゲン酸,DNJ含量の季節変化を調査した.5月26日から10月15日までの調査期間中,いずれの葉中含量も大きく変化した.フラボノール含量は5月下旬から7月上旬,8月上中旬および9月下旬以降に高く,クロロゲン酸含量は5月下旬から7月上旬,9月下旬以降に高くなった.特に9月下旬以降のフラボノール含量は日経過とともに増加し,調査最終日の10月15日に最も高い値を示した.このフラボノールの9月下旬以降の含有量増加は日照時間と低温の相乗効果であることが示唆された.一方DNJ含量は調査開始時および終了時に低く,8月中旬に最も高くなる山なりの推移を示し,積算気温との高い正の相関が認められた.機能性成分がそれぞれ多くなる収穫時期は,フラボノール,クロロゲン酸は9月下旬以降気温が低く多日照となる時,DNJは気温が高くなる8月がそれぞれ適期であり,さらに,すべての成分を網羅するための収穫時期は8月高温期の多日照時がよいと考えられた.以上,本研究によりクワ葉に含まれる機能性成分含量が高くなる条件を検討し,品種選定や日照条件,窒素施肥量,収穫時期により,それぞれの成分を高くするための条件が明らかとなった.これらの知見や技術は,今後機能性成分の高いクワ葉生産に活用することができる.(著者抄録)
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食品の化学・栄養価  ,  特用作物一般  ,  作物の品種改良 
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