抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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高齢者介護福祉施設において,衛生の観点から,換気と加湿に多くの注意が払われている。しかし,冬の過度の換気は,低温かつ高湿の屋外空気の流入を促進し,低湿度,コールドドラフト,そして暖房負荷の増加をもたらす。さらに,施設における気流経路は,感染や臭気の拡散を最小化するように設計されるべきである。建築物全体の気流分布を定量的に把握することが重要である。しかし,特に大規模の建物では,測定による解明は容易ではない。本研究では,北海道の高齢者介護福祉施設について,多数室換気解析を用いた現場の屋内環境測定を行った。建物内の気温,湿度およびCO
2濃度の分布を,冬を通して測定した。その結果,室内絶対湿度とCO
2濃度は,大容量の厨房の排気ファンの運転中に減少することが示分かった。厨房から遠く離れた部屋でも減少が発生し,したがって厨房からの排気が建物全体の屋内環境を支配し,また施設内の様々な空間からの空気が厨房に隣接するデイルームに集まることが示唆された。さらに,測定値に基づいて決定した気温分布を用いて,厨房,トイレ,浴室,および施設内の他の部屋を含む全排気ファンの,推定開口面積,運転時間,および気流速度を考慮して,冬の代表日に対する気流分布を計算するために,この建物全体についての多数の室換気解析を実施した。CO
2濃度・絶対湿度収支方程式を,人(CO
2と水分)と加湿器と浴室(水分)からの発生速度を決定することによって同時に解いた。CO
2濃度と絶対湿度の分布の計算結果は測定値と良好に一致した。この検証モデルの計算結果に基づいて,各寝室の空気質が適切な水準を満たしていることを示した。相当量のデイサービスセンター内の空気が施設居住者の部屋に流入し,感染制御の観点からは適切ではなかった。一方,厨房の排気ファンが止められた夜間では,気流は連続的に運転されたトイレの排気ファンが支配するいくつかのブロック内でバランスした。最後に,換気操作における2つの改良事例の解析を行ったが,それは,厨房ファンを間欠的に運転する事例と,厨房ファンの排気気流速度と等価の厨房への直接空気供給を導入した事例である。その結果,CO
2濃度の増加の許容レベル内での湿度の増加,および熱負荷の削減が,台所での間欠運転によって,また厨房への直接空気供給の導入で可能であることが分かった。さらに,後者の場合,建物への空気侵入による熱損失の減少は,厨房に供給される空気を加熱することによって相殺されるが,気流は,建物内のいくつかのブロック内でバランスし,それは,施設における感染や臭気の拡散の制御の観点から有効である。(翻訳著者抄録)