抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
マンガンは地球表層において鉄,チタンに次いで存在量の多い金属元素である。酸化還元状態などの環境変化に応じて希少金属を伴って容易に沈殿物を形成または溶解する特性を持ち,環境中での金属元素の挙動を理解する上で重要な元素として注目されてきた。地球上の7割を占める広大な海洋においては,外洋域の深海底に大量の酸化物として存在する事が知られてきたが,海底のさらに下,海底下地層環境中のマンガンの存在実体は分かっていなかった。筆者らは,放射光X線解析を含む分野横断の微細構造解析や高感度化学組成・化学状態分析を駆使して深海底地下環境を調べ上げた結果,地層内でのマンガンは縮れた糸状鉱物の集まった直径数ミクロンの酸化物微粒子「微小マンガン粒」として存在する事を明らかにした。また,微小マンガン粒の地球全体の数的規模から,深海底のマンガン団塊などに含まれる量の100~1000倍のマンガンが,微小マンガン粒として海底下に埋没している事も突き止め,地球規模の金属元素動態において微小マンガン粒が重要な役割を果たすことが分かってきた。本稿では,微小マンガン粒について得られた科学的知見と,環境試料への放射光X線解析の適用事例として筆者らの取り組みを紹介すると共に,将来展望を議論したい。(著者抄録)