抄録/ポイント：
抄録/ポイント
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本研究では,地域住民の社会的支援活動の拠点を,空き家を利用して確保する可能性について調べた。コミュニティ住民の社会的支援はボランティア参加に依存する。それは,専門組織によって提供されるサポートとは異なっているが,より多くの柔軟性を持ち,財政的基盤はしばしば弱い。社会的支援活動の拠点を確保するために,無料または低価格の賃料が不可欠であった。公共施設,福祉施設,学校,地域の空き家などは,可能な地域資源であるが,公共施設には多くの制約がある。空き家の利用は,広く採用できる非常に現実的な方法であると考えられる。コミュニティにおいて空き家の増加は問題となり,それらの利用に関心が集まっている。これらはしばしば継承された財産であり,所有者によって利用も賃貸もされていない。家族住宅への愛着または解体コストの負担のため,これらの財産が残されていると言われている。したがって,賃貸収入を期待するよりも,多くの所有者はそれらの財産を未利用で残している。もし,これらの空き家の幾つかが無料または低価格で利用できるならば,財政的に弱いコミュニティの社会的支援活動の拠点を確保するこがより容易になる。しかし,この条件は,賃貸できる空き家に関する情報を得るためには,まだ準備されていない。現在まで,不動産業者と活動家のネットワークが情報を提供しているが,これらの情報源は十分ではない。したがって,明確に同定された所有者が有する空き家の,新しい所在を見つけるため,著者らは,神奈川県における成年後見人に関する調査を実施し,「空き家情報が集積する場」としての成年後見人の可能性を調べた。その結果,成年後見人は実際に「情報の集積する場」であり,多くの所有者はコミュニティ活動に興味を持っていた。無料または低価格賃貸の確保の可能性は高い。後見人の理解により,所有者は空き家利用のニーズに気づくことができる。また,無料または低価格賃貸に関する所有者の理解を得るためには,少なくとも3つの条件がある。(1)残された荷物の処理,基礎的修復,除草と換気による建物の維持管理などは,所有者の費用として負担にならない。(2)家財を整理する必要性がある場合,引き取りに関するトラブルの懸念を避けるため,即時引き渡しの条項を持つ契約でなければならない。(3)テナントの同一性に関する懸念に対処するために,契約者は都市社会福祉協議会などであるべきである。所有者の再保険は,必要な付帯事項である。これらのうち,(2)と(3)は,一般の賃貸人でも不安を感じる傾向があるが,(1)は市場ベースでは採用されていない。無料賃貸または低価格賃貸で,所有者の負担を避ける意図は,非常に自然である。これらがコミュニティ福祉活動家に要求される条件であると考え,後見人と家庭裁判所が「それが所有者の利益になる」かどうかを知らせることができる。(翻訳著者抄録)
