抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
半側空間無視患者の無視空間への視覚刺激の提示や,視覚マスキング等によるサブリミナル刺激を用いた先行研究により,知覚されない情動的な視覚刺激(恐怖顔やクモなど)が主観的な「見え」を伴わなくとも,人の行動や思考へ影響を及ぼすことが知られている。本研究では,脳への情報入力としては知覚されるに十分な刺激の強さと提示時間を持っている閾上刺激入力の有無と,その入力に対する意識的な知覚の有無を独立に操作できる両眼視野闘争を用いて,抑制眼側に提示された意識的に知覚されない顔刺激の表情が,優位眼側での意識に上る顏刺激の表情の認識に与える影響を調べた。被験者は,指定された表情(笑いもしくは怒り)を優位眼側で検出した際に出来るだけ素早くボタンを押すというgo/no-go課題を,抑制眼側に優位眼側と一致する表情の顔刺激が提示される一致条件,一致しない表情の顔刺激が呈示される不一致条件,抑制眼側には顔刺激が提示されない単独条件の三つの条件下で行った。その結果,抑制眼側に提示された表情は,意識的には知覚されないにも関わらず,優位眼側での表情検出における反応時間に対して影響を与え,不一致条件では一致条件,単独条件と比べて反応時間が遅くなることが示された。また抑制眼側の表情による潜在的プライミングの影響が,表情選択的に起こっていることも示された。これらの結果は,表情認識の際の情動処理が無意識下で行われている可能性を示唆するものである。(著者抄録)