抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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わらび餅の食感,触感を制御するために澱粉の糊化プロセスにおけるナノスケールの構造の変化および,わらび餅のナノスケールの構造を評価することを試みた。まず,澱粉懸濁液を加熱すると,「凝集体の形成」が起こり「不透明な糊」から「透明な糊」と変化することがわかった。また,これらのプロセスの速度には濃度依存性があり,濃度が高いほど速くなる傾向があることがわかった。この系ではネットワークの形成のしやすさに依存していると考えられる。澱粉分子に水分子が入り込み,澱粉分子同士のネットワークが系全体に広がるため,糊化が起こるものと考えられる。また,ナノメートルスケールの構造を精密に評価するため,SPring-8にて放射光X線散乱測定を行った。まず,広角X線散乱測定からは,濃度により結晶構造が変化することがわかった。澱粉濃度が低い場合は,疎なB形の結晶が,高い場合は密に詰まったA形およびB形の双方が観測された。また,懸濁液から凝集体までは澱粉由来の構造が観測されるが,加熱に従って,徐々に結晶の量が減少していることがわかった。また小角X線散乱測定からは,懸濁液から凝集体までは澱粉のラメラ構造に起因する10ナノメートル程度の構造が観測されるが,糊化に伴って徐々に減少し,20~30nm程度の架橋点のネットワーク構造が観測された。すなわちわらび餅は澱粉の糊化に伴うネットワークを持つゲルからなっていることを示すことができた。(著者抄録)