抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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愛媛県内の工業地域の中心である新居浜市及び一次産業が主体である地域の宇和島市の一般環境地点(以下それぞれSite-N,Site-U)において,大気エアロゾル中の12種のPAHs濃度を測定し,その濃度レベル及び変動の特徴を明らかにするとともに,発生源の推定及びリスクの評価を試みた。Σ
12PAHs濃度の年間平均値は,工業都市である新居浜市で4.5~4.7ng/m
3,1次産業が主体の宇和島市で2.0~3.4ng/m
3であり,新居浜市は宇和島市の約2倍の高値を示した。得られた各PAHsの年平均濃度及びユニットリスクから,個々のPAHの発ガンリスクは10
-5~10
-7のオーダーにあったが,総PAHsでは環境審議会による目標基準設定時の目安10
-5を上回った。また,TEFに基づくΣB[a]P
eqは0.4~0.9ng/m
3と評価された。いずれの場合も,種別の寄与割合は,B[a]Pが50%以上を占め,監視項目として最も重要と考えられる。次いでDB[a,h]Aが大きな値を示した。ガス相のPAHsについては今後の調査が必要である。発生源については,4環以上のほとんどのPAHs種間で相関が認められたこと,また,特定のPAHs間の比を発生源のデータと比較した結果から,主要な発生源は自動車排ガスであり,中でもディーゼルエンジンの寄与が大きいと推定された。この結果は,自動車排ガスの指標である一酸化炭素及びベンゼンとPAHs濃度との間に相関が認められたことからも裏付けられた,さらに,新居浜市では,沿岸工場群の影響が認められる人為起源金属とPAHs濃度との間に有意な相関がないことから,工場群の影響は少ないものと推定された。ベンゼンとの直線回帰式の切片から,Site-Nにおける自動車排ガス以外の寄与は年平均値の約30%と推定される。一方,大規模な工場等のないSite-Uにおいて,Σ
9PAHs濃度が人為汚染金属類の濃度と有意な相関を示したことから,大気輸送の影響について検討した。金属類及び水溶性イオンを含めた階層的クラスター分析の結果,黄砂,工場排ガス,自動車排ガス関係の成分群に分類された。各群の時系列変動から,特徴的な日を抽出し,後方流跡線解析の結果を併せて考察した結果,中国の大気汚染の著しい地域を低空で通過した場合に,工場排ガス関係成分の濃度上昇が見られた。...(著者抄録)