抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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日本固有の淡水産ラン藻であり,江戸時代より幕府への献上品として大切に保護・育成されてきたスイゼンジノリであるが,生育条件に対し,高い適合性を要求するため,現在ではその生育量は減少しつつある。そこで,江戸時代から養殖に成功している黄金川において,今後のスイゼンジノリの学術的解明及び保護・育成を目的とした研究を行った。また,同時にスイゼンジノリの食素材としての機能性についても検討した。生育環境調査は,福岡県朝倉市黄金川にて行った。調査は,水質測定(生活環境項目,富栄養化項目,など)及びスイゼンジノリ湿重量測定を行い検討した。また,機能性に関しては,抗酸化活性についてロダン鉄法を用いて検討した。その結果,黄金川におけるスイゼンジノリ生育地の水温は,ほぼ指標値と考えられる15~25°Cの範囲内であった。また,スイゼンジノリの湿重量測定の結果,各季で約2~6倍に増加した。季節別では,春季>夏季>秋季>冬季の順に増加率が低下する傾向がみられた。水質との関連では,硝酸性窒素濃度との相関係数が高い値を示した。機能性に関しては,抗酸化活性は市販の抗酸化食品として知られている緑茶及びα-トコフェロールよりも強い抗酸化活性を示した。今回,江戸時代から養殖を行っている黄金川における,年間を通じてのスイゼンジノリ増殖率を,科学的,定量的に,初めて明らかにした。黄金川は,スイゼンジノリの養殖を200年以上継続している貴重な場所であり,この場所を保全することは,極めて重要である。(著者抄録)