抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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高層気球を利用した微小重力実験システムの研究開発が行われている。このシステムでは,高度40kmまで達することのできる高層気球からノーズコーンをもつ円筒状の機体を落下させることにより,高品質の微小重力環境を作り出す。このシステムは落下中にマッハ数2程度に達することができるため,超音速飛行のテストベットとして利用する構想も,もち上がっている。当システムを超音速飛行試験に用いる際には,加速度および角加速度センサによる対地速度情報とは別に,迎え角,横滑り角等の気流に対する機体の相対情報を取得する必要がある。そのため,エア・データ・センサ・システム(ADS)の採用を計画中である。本研究では,気球落下式超音速飛行実験システムへの適用を計画している機体表面圧力計測型ADSについて,CFDによる計算結果を元に,計測精度向上のための検討を行った。本稿では特に超音速飛行実験システムで重要となる超音速領域(マッハ1.5~2.0)に適用範囲を絞り,ノーズコーン半頂角の影響およびマッハ数算出手法について調査した結果を報告する。計算手法および条件は半球上の計算格子を用いて,3次元非粘性数値流体計算を行う。計算格子は流れ方向120×周方向63×半径方向80点で計60万点程度である。ノーズコーンの先端部分については(1/80)D(D:機体直径)で丸めている。空間差分にはAUSM-DVスキームを用いMUSCL法で3次精度化した。時間差分にはLU-SGS陰解法を用いた。計算結果及び考察より,姿勢計測には半頂角がある程度大きい方が望ましく,マッハ数計測には半頂角が小さい方が望ましいことが明らかになった。双方の計測で高い精度を確保するには,この相反する要求に答えなければならない。そこで前方で半頂角が大きく,後方で小さくなるような2段ノーズコーンを使用することを提案する。姿勢計測については前方の半頂角が大きい部分での圧力差を用い,マッハ数計測については後方の勾配が緩い部分を利用して計測を行う。2段ノーズコーンを用いることで,角度計測,マッハ数計測ともに大きな勾配を確保できることが明らかになった。2段式ノーズコーンを用いることで,感度を向上させるのみならず,ノーズコーンに作用する抗力を減らすメリットもある。