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J-GLOBAL ID：201102200763337315   整理番号：11A0104109

ブルガリア南西部の乳加工体系

Milk processing system in the south-west of Bulgaria

著者 (4件)： 平田昌弘 (帯広畜産大) ,  YOTOVA Mariya (総合研究大学院大) ,  内田健治 (よつ葉乳業) ,  元島英雄 (よつ葉乳業)
資料名： ミルクサイエンス  (Milk Science)
巻： 59  号： 3  ページ： 237-253  発行年： 2010年12月15日 
JST資料番号： F0966A  ISSN： 1343-0289  CODEN： MISAFD  資料種別： 逐次刊行物 (A)
記事区分： 原著論文  発行国： 日本 (JPN)  言語： 日本語 (JA)

抄録/ポイント： 本稿では,ブルガリア南西部の乳加工体系とその特徴を明らかにし,バルカン半島のブルガリアにおける乳加工発達史を論考した。ブルガリアの乳加工体系は,発酵乳系列群と凝固剤使用系列群の乳加工技術が確認された。ブルガリアの発酵乳系列群は西アジア由来の乳加工技術である可能性が極めて高く,冷涼性ゆえに水分含量が比較的高くても保存が可能なため,酸乳やバターの段階で加工が終了してしまうように変遷していた。塩水漬けにしてチーズの熟成をおこなうバルカン半島ブルガリアのチーズ加工技術は,熟成をおこなわない西アジアと熟成に特化したヨーロッパのちょうど中間的な位置にあり,ヨーロッパのチーズ加工の土台を形成した可能性が高いと考えられた。更に,レンネット利用がチーズ加工にではなくチャーニングによるバター加工用の生乳凝固に利用されていることから,もともとのレンネット利用は先ずバター加工に用いられ,後にバター加工からチーズ加工へと転用されていった可能性が高いと考えられた。これらのことから,レンネット利用によるチーズ加工の起原地の一候補地がバルカン半島であることが示唆された。このように,ブルガリアの乳文化は人類の乳加工史において極めて重要な乳加工技術を今日に伝えている。これらのブルガリアの重要な乳加工技術も,社会主義体制への移行・崩壊,EU加盟を通じて,経営的に成り立たず,多くが消え去ろうとしている。ブルガリアは,EUという巨大経済圏に加盟したまさに今,自国の農業生産や文化の継承のあり方について問われている。(著者抄録)

シソーラス用語： ブルガリア共和国 ,  *乳製品 ,  *乳加工 ,  発酵乳 ,  バター ,  スターターカルチャー ,  加熱殺菌 ,  生乳 ,  レンネット ,  凝乳 ,  チーズ【食品】 ,  ホエー ,  実態調査 ,  クリーム ,  *技術史 ,  バターミルク ,  特性 ,  気候 ,  脂肪族アルコール ,  脂肪族カルボン酸 ,  ヒドロキシ酸 ,  ポリカルボン酸
準シソーラス用語： 気候特性 ,  地域性

分類 (2件)： 乳製品  (FJ12023U) ,  食品工業一般  (FJ02010F)

物質索引 (1件)： クエン酸

引用文献 (19件)：

• 足立 達: 『乳製品の世界外史--世界とくにアジアにおける乳業技術の史的展開--』, 東北大学出版会, 宮城 (2002)
• 平田昌弘:「アジア大陸における乳文化圏と発酵乳加工発達史」石毛直道編著『世界の発酵乳』, はる書房, 東京, pp. 174-197(2008)
• 中尾佐助: 『料理の起源』, 日本放送出版協会, 東京 (1972)
• 平田昌弘: 西南アジアにおける乳加工体系. エコソフィア, 3, 118-135(1999)
• 平田昌弘・清田麻衣: フランス国中南部丘陵地帯の乳加工体系--オーヴェルニュ地域圏の酪農家の事例から--. ミルクサイエンス, 59(2), 103-114(2010)

タイトルに関連する用語 (3件)： ブルガリア ,  乳加工 ,  体系