抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
明治初頭に日本に近代地質学が輸入されてから,日本列島は世界でもまれに見る高精度の地質調査が行われてきた。さらに最近La-ICP-MS装置の発達により,砕屑性ジルコンのU-Pb年代が大量迅速に測定することが可能となり,化石が産出しない層準でも堆積年代が制限・決定できるようになった。これらのデータおよび文献のコンパイルと筆者の自前の知識を基に広域変成帯はほぼ水平な薄い板状地質体として造山帯中に産することを既に明らかにしていたが,さらに蛇紋岩メランジェ帯は過去の和達-ベニオフ帯の痕跡と考えられることを論述した。構造侵食によるすさまじい二次的改変によって三次元的形態が失われてしまってはいるが,日本では少なくとも6回の高圧変成作用が起きていることが知られている。これらの広域変成帯の境界である断層は造山帯の中核部の形成に関与した重要な地質学的境界である。日本列島で提案・確認されている断層や構造線は,造山論の観点から階層性を区別して評価する必要がある。日本列島の形成論の観点からは,フォッサマグナおよび中央構造線が最も重要な地質構造線であるという概念は忘れ去るべきである。日本列島の大部分は南中国地塊の縁辺で形成されたが,これら東アジア大陸縁辺の海側への成長は,海洋プレートの沈み込みの体制が維持されても常に付加体が成長するわけではなく,構造浸食によって既存の付加体や前弧地殻が消失したため,極めて間欠的であった。