抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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共役リノレン酸 (CLN) 含有油脂は酸化安定性に乏しいことがその利用において問題となる。一般に油脂の酸化安定性はその脂肪酸組成に依存しているが, 脂肪酸組成が等しい場合にはそのトリアシルグリセロール (TAG) 分子種組成の影響が考えられる。本研究ではCLNを24, 45%程度含有する油脂として, オレイン酸主体TAGにCLNを1,3位特異性を有する酵素を用いて導入するアシル基変換反応と, CLNを含む桐油とオレイン酸主体TAGの油脂の混合の2方法によって調製し, これらの酸化安定性を比較することによりCLN含有油脂の酸化安定性に及ぼすTAG分子種組成の影響について検討した。まず, 2方法で調製したCLN含有油脂の分子種をHPLCによって分析した結果, アシル基変換反応により調製した油では1分子あるいは2分子のCLNを含むTAGが存在していたのに対し, 混合油では3分子のCLNからなるTAG (3CLN-TAG) が存在し, 分子種組成に大きな差が見られた。さらに, 自動酸化および加熱酸化試験の結果, CLN含有率24%の場合には調製油と混合油の酸化挙動に大きな違いは見られなかったが, CLN含有率45%の場合には, 混合油に比較して, 調製油は明らかに高い酸化安定性を示した。以上の結果から, CLN含有油脂としては3CLN-TAGを含まない調製油が酸化安定性の点からより有効であることが判明した。(著者抄録)