抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
貯蔵中レモン果実の腐敗,果皮障害の発生と貯蔵前に受けた衝撃の大きさとの関係について調べた.落下衝撃実験では,腐敗・果皮障害の発生率と貯蔵前に受けた衝撃エネルギーとの間に高い相関があり,さらに落下部位により腐敗および果皮障害の発生率は大きく異なることが明らかとなった.特に,果頂部への衝撃が腐敗および果皮障害を引き起こしやすかった.また,腐敗・果皮障害の種類としては,白いかび症状,赤い斑点症状,やけ症状などが主なものであり,落下回数による差異は確認できなかった.次に,実際の収穫後の作業工程において,工程別に果実が受ける衝撃と貯蔵後の果実の腐敗発生率ついて調べた.選果機ラインの最後に果実が集荷台に転がり落ちて停止するまでの工程が最も衝撃回数が多く,次が果実の洗浄から乾燥機を通過してドラム選果前までの工程であった.また,収穫後トラックで選果場まで運搬し,積み下ろしするまでの工程が最も衝撃が少なかった.収穫から選果終了までの累積の作業工程別にサンプリングした試料を5か月間貯蔵した際の腐敗発生率は,選果工程が長くなるにつれて高くなった.さらに,貯蔵期間中の腐敗発生率について貯蔵月数と貯蔵前に加わった衝撃エネルギーをパラメータとしてモデル化した.これを使い,作業工程中の腐敗発生率をシミュレーションした結果,実測値と予測値は高い相関を示した.以上の結果から,収穫後に果実が受ける衝撃を軽減することにより,貯蔵中の腐敗発生を抑制することができるが,それだけでは十分でないことが明らかになった.今後は予措や包装資材などによる腐敗発生軽減効果を検討し,複合的に腐敗発生を抑制する技術を確立していく必要があることが示唆された.(著者抄録)