抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
基板加熱がc面配向Coスパッタ薄膜の原子積層構造に及ぼす効果について評価し,原子積層構造と一軸結晶磁気異方性定数(K
u)との相関について解析した。具体的には,In-plane X線回折法を用いて薄膜中に形成される積層欠陥の導入度合いを定量評価し,磁気特性と積層構造との相関を詳細に検討したところ,以下のことが明らかとなった。1)c面配向Coスパッタ薄膜においては,室温成膜では積層欠陥として局所的なfcc積層を10%程度含んだ六方晶原子積層構造が形成される。400°Cの基板加熱成膜では積層欠陥の導入度合い(P
fcc)が0.1%以下となり,ほぼ完全にhcp積層した薄膜が形成される。2)基板温度を変化させても飽和磁化(M
s)は変化しない一方で,K
uは大きく変化し400°Cにおいて6.1×10
6erg/cm
3の極大を示す。3)垂直磁気トルク曲線を2回および4回対称成分に分離してK
u1,K
u2を解析したところ(K
u=K
u1+K
u2),P
fcc=7-10%ではK
u2が支配的だが。P
fcc=2.5%付近でK
u1とK
u2の値がほぼ等しくなり,P
fcc=0%近傍ではK
u1の方がK
u2よりも増大した。4)したがってc面配向Coスパッタ薄膜の基板加熱成膜は,磁性結晶粒中の積層欠陥を排除し完全六方晶原子積層構造を形成させるための有効な手法であり,これによりCoスパッタ薄膜にもバルクの文献値(K
u=5.97×10
6erg/cm
3)に匹敵する一軸結晶磁気異方性エネルギーを発現させ得ることを見出した。(著者抄録)