抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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2008年に発生した岩手・宮城内陸地震では,山岳地域において土砂災害が多く発生した。本研究では,アメダスメッシュ化データを用いて2008年の気象経過についてまとめ,地震発生時およびその前後の気象条件を明らかにした。2008年の年平均気温は準平年値(1998~2007年の10年間平均値)と同等であったが,1月から2月の気温が低く,3月から4月の気温が高い傾向にあった。地震発生日(6月14日)前後はきわめて降水量が少なく,またその状態は地震発生後一ケ月間続いていた。地震発生前の一ケ月間に大きな降雨イベントはなかったが,災害地におけるこの期間の積算降水量は平均で200mmを超えており,この量は同期間の準平年値を上回っていた。解析雨量データによって,地震発生前後における準平年値を超える降雨イベントについて,その降水量分布特性を調べた結果,降水量分布は災害地付近で極大域を持つことが多く,近隣の地域よりも降水量が多くなる傾向が得られた。災害地における冬期積雪水量を推定した結果,2008年の積雪水量は2007年よりも多く,とくに標高1000m以上の高標高地域において顕著であった。2008年は,3月から4月にかけての高温傾向によって融雪の進行が早まったが,高標高域では地震発生直前まで局所的に積雪が残ったものと思われ,地震発生時,この部分の土湿は融雪と降雨の影響により湿潤状態にあったと考える。(著者抄録)