抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
1.‘サンベルデ’は,果樹試験場安芸津支場(現 農研機構果樹研究所ブドウ・カキ研究拠点)において,1993年に‘ダークリッジ’に‘センテニアル’を交雑して得た実生から選抜された,黄緑色の大粒ブドウである。2004年より「ブドウ安芸津25号」の系統名を付けてブドウ第11回系統適応性検定試験に供試し,全国33か所の試験研究機関と果樹研究所において特性を検討した。2011年5月に登録番号20821号として種苗法に基づき品種登録され,2012年4月に平成23年度農林水産省農林認定品種として登録された。2.樹勢は強い。系統適応性検定試験における発芽期および開花期は,‘巨峰’よりいずれも2日遅かった。満開~満開3日後と満開10~15日後にジベレリン25ppmに花(果)穂を浸漬処理することにより無核果生産できるが,安定した無核果生産を行うためには,開花前のストレプトマイシンの散布が望ましい。ジベレリン処理を行ったときの花穂整形労力および摘粒労力は‘巨峰’および‘ピオーネ’並みであった。3.系統適応性検定試験におけるジベレリン処理を用いた無核栽培での果実成熟期は‘巨峰’とほぼ同時期であり,‘ピオーネ’より4日程度早かった。果粒重は11.3gであり,‘巨峰’と同程度,‘ピオーネ’より2g程度小さかった。裂果性は‘巨峰’や‘ピオーネ’と同程度に低く,脱粒は‘巨峰’および‘ピオーネ’よりややしにくかった。はく皮性は中程度で,果樹研究所における特性調査では‘巨峰’よりややはく皮しにくいが,‘シャインマスカット’よりはく皮しやすかった。糖度は平均19.7%程度であり,‘巨峰’および‘ピオーネ’より1%以上高かった。一方,酸度は平均0.44g/100mlであり,‘巨峰’より0.1g/100ml程度低かった。果肉特性は‘巨峰’や‘ピオーネ’より崩壊性に近く,果肉硬度は‘巨峰’より硬かった。明確な香気はなく,渋みは一般に感じられなかった。日持ち性も‘巨峰’および‘ピオーネ’とほぼ同程度であった。4.東北地方南部以南の‘巨峰’栽培地域における栽培に適する。系統適応性検定試験では,‘巨峰’より耐寒性が弱いことが示唆された。‘巨峰’を対象とした慣行防除で特に顕著に発生した病害虫はなかった。また,成熟期の果粒にサビが生じやすいが,開花時に花冠を落とすことにより,発生を軽減できた。(著者抄録)