抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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平成23年度の学習指導要領の改訂により,多くの高校で理科3分野の基礎科目を履修することとなり,地学の履修者はこれまでよりも増加している。履修者が増加傾向にあるこの時期に,効果的な教材を提供することは,天文教育・普及の観点から重要である。また天文教材についてそれほど詳しくない教員を支援する面からも,効果的な教材の開発は不可避である,恒星の色は等級と並び最も基本的な観測量であり,恒星の表面温度と密接な関係を持っている。また恒星の色の違いは肉眼でも容易に識別できるため,恒星の色の違いについて考えることは高校生にとっては親しみやすいテーマと考えられる。しかしながら等級に着目する教材に比べ,恒星の表面温度に着目する実習型教材は少ない。そこで本論文ではB,V,Rc,Icの4バンドの撮像データから求めた恒星の明るさと黒体放射スペクトルを比較することで,星の表面温度を推定する教材を開発した。教材用の画像データは,国立天文台から公開されているアーカイブデータを用いた。この教材では異なる波長で観測された星の明るさを表計算ソフトに入力することで半自動的に星の表面温度を推定できる。この教材の有効性を確認するため,三重大学主催の公開セミナーにおいて教材を使った実習を行った。セミナー参加者は高校1年生から3年生までの37名で,全員が地学基礎は未履修であった。実習の結果,90%の実習生が満足との回答を得ることができた。これらの結果から,今回開発した教材は,天文学の知識をほとんど持ち合わせていない生徒に対しても学習効果があるものと言える。(著者抄録)