抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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著者の1人は以前に直感に基づく傾向として,「近畿圏出身者はオノマトペの使用頻度が他地域よりも高い」との素朴理論について,Webに基づく主観的な使用頻度調査を行った。本論文では,前記調査では実際の使用頻度を必ずしも正確に反映していない可能性があることなどを踏まえ,客観的データとしての話し言葉コーパスの分析を試みた。具体的には,国会会議録データベースに含まれるオノマトペを抽出し,1000件以上の発言をしている発言者のうち出身地が判明した人の中で,発言内容にオノマトペが含まれた発言者を地域別に分類した。また,オノマトペ全体に対して各地域における平均オノマトペ使用頻度を算出・比較したところ,近畿圏出身者の使用頻度が特に高いわけではなかった。そこで,1)重複型,2)強意型,3)「り」語尾型といったオノマトペの形態的特徴ごとに頻度差を調べ,使用頻度が十分大きかった2)のオノマトペの使用頻度を地域比較した。その結果,「しっかり」,「はっきり」,「きっちり」などの2)のオノマトペは近畿圏において突出して頻度が高くなった。さらに,非オノマトペである副詞の使用頻度についても調べたが,地域差は認められなかった。