抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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アンサンブル予測を用いて特定の領域において検証時間に発達する感度の良い初期擾乱を同定するための単純な手法を考案した。これらの手法は接線線形モデルや随伴モデルを必要とせず,近似解を求めるためのアンサンブル予測を用いる。感度計算への入力はbredベクトルや,特異ベクトル,またはアンサンブルカルマンフィルター法によって擾乱を与えられた初期状態から積算された任意のアンサンブル予測で行うことが出来る。アンサンブル予報を用いて随伴行列と特異ベクトル法を近似するための2つの定式化をここで提示する。すでに以前の研究で取り入れていたアンサンブル特異ベクトル感度は1つの固有ベクトルの計算によって得られた。アンサンブル随伴感度はより単純なマトリックス-ベクトルかけ算によってのみ求められた。定式化の正当性を確認するために,いくつかの事例についてアンサンブルを基にした感度解析を行った。初めに,2003年の1月から8月までの日本上空の検証領域において発達する感度の良い初期擾乱を同定するために2つの手法を適用した。第一特異ベクトルモードは実際に検証時間に最大振幅に達したが,検証時間後には絶対的な真実ではなかった。両方の手法は感度の良い領域を大きくアンサンブルに広がりがあった中緯度低気圧や熱帯低気圧の事例での領域よりもより明確に同定することが出来た。2003年1月の月平均感度はロスビー波とシベリア,チベット上空にある上流の感度の良い領域と下流の北西太平洋の感度の良い領域内の総観規模の擾乱の影響を示していた。2003年8月の感度はアジアモンスーンの影響を示唆するものであった。次に,2002年8月のヨーロッパでの暴風雨の事例では全球の20km解像度のシミュレーションを擾乱の無いシミュレーションと比べるために,アンサンブル特異ベクトル法による初期状態の擾乱から行った。擾乱の入ったシミュレーションでは低気圧は北東区域において数hPa低くなり,アルプスの北部でより降水が多くなったことでより観測値と一致するようになった。これらの結果は,我々の手法によって理にかなった感度の良い領域を同定できたことを示している。(翻訳著者抄録)