抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本研究では,干し操作によるダイコンの抗酸化性および甘味の変化に加えて,独特な歯ごたえや味の染み込みやすさについて経時的な変化を明らかにすることを目的とした。ラジカル捕捉活性や還元糖量は生重量あたりについて生と比較すると保持ざれており,乾燥重量あたりでは増加していた。褐変化度は経時的に増加した。このラジカル捕捉活性,褐変化度,還元糖量の結果から,抗酸化性の増加や保持にはアミノ-カルボニル反応によって,メラノイジンの生成が関与されていると示唆された。また,還元糖量の結果から,一般的に干し野菜にすることで甘味が増すと言われているが,これは水分の減少によって,糖などの可溶性成分が食品表面で濃縮されることで甘味を感じやすくなっているのではないかと考えられた。破断特性の結果から,生から2日干しまではダイコンの表面は硬化するが,内部には水分が残っているため,歯切れが悪くなり,3日干しでは内部の水分が減少するため,もろく砕けやすくなるとと考えられた。植物細胞の生死染色では,生<1日干し<2日干し<3日干しの順に濃く染色され,死細胞の割合が経時的に高くなった。これは,乾燥により細胞膜が選択的透過性の役割を失うことで,浸透圧ではなく拡散によって溶液が浸透しやすくなると考えられた。したがって,調味液でも同様に拡散によって浸透しやすくなると考えられた。またCa含量についても検討を行ったところ,Ca含有量は生重量あたりでは変化は認められず,乾燥重量あたりでは有意に増加したものの,食品成分表の値よりも著しく低値を示したことから,今後,皮の有無による検討が必要である。以上の結果より,ダイコンを3日間天日干しを行うことで,抗酸化成分や甘み成分の濃縮,Ca含有量の増加が期待でき,干し操作によって独特の食感が生まれることがわかった。さらに乾燥により細胞膜が選択的透過性の役割を失うため,調味料の味が染み込みやすくなると考えられた。(著者抄録)