抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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つい最近,理研播磨のSACLA施設でSuga,Akita,ShenらはX線自由電子レーザー(XFEL)を用いて光システムII(PSII)の酸素発生錯体(OEC)の無損傷構造を決定した。しかしながら,水素原子の位置は1.95Å解像度のXFELでは決定できなかった。PSIIのOEC中のCaMn
4O
4(H
2O)
2Yクラスター(1)のXおよびYサイトの4つのプロトン化のケースを仮定して,理論的にXFEL構造を調べた。高スピンUB3LYPレベルの計算スピン密度から1のMnイオンのMn-O結合はやや伸びて,高原子価のMnイオンの部分的な内部還元を生じ,1のO
5(=X)サイトはXFEL構造中でプロトン化している
1。(1=M.Suga et al.,Nature,517,(2015)99.)QMとQM/MM計算によりあきらかにした1のMn-Mn,Ca-Mn,Mn-O距離に対するいくつかのカギになるコンセプトと選択律をXFELにより明らかになったPSIIのOECの無損傷S1構造を理解するために調べた。Mn
a-O
5結合距離に関連するMn
a-Mn
b距離を決めるための簡単な方程式を可動性Mn
a-X-Mn
d結合(X=O
5=酸素ジアニオンあるいは水酸化物陰イオン)のJahn-Teller(JT)効果に関係づけて誘導した。1.95Å解像度のXFEL構造は,EXAFSにより右側が開いた(R)構造に矛盾したやや右伸長擬中心(C)構造とみなすことができる。計算機による計算結果からの推測を(a)使用可能なEXAFS実験,(b)CaMn
4O
5クラスターの起こりうるX線照射損傷,(C)Umeyaらによる高分解能XRDの長いMn-Mn距離と(d)材料およびバイオ分子科学における強相関電子系(SCES)の重要な役割と関連して議論した。