抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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秋~春に温帯低気圧が本州の南海上を北東進し,広い範囲に降雨や降雪をもたらす事が知られている。本稿では,このような温帯低気圧を南岸低気圧と呼び,国際的な視野も含めて,「South-coast cyclone in Japan」と表記した。南岸低気圧は温帯低気圧であり,その発達過程は基本的には傾圧不安定で説明される。この他にもこの発達に寄与する力学として,上層ジェットストリークの出入口に伴う非地衡風の鉛直方向の二次循環が挙げられる。南岸低気圧の構造的特徴として,南岸低気圧の接近に伴う関東平野におけるメソ規模現象としてのCold-Air Damming(CAD)や沿岸前線の発生,南岸低気圧に伴う降水,および南岸低気圧に伴って発生する気象災害を記述した。南岸低気圧による関東甲信越地方の降水・降雪現象はアメリカ東海岸における「Northeast snowstorm」とよく似ており,地理的特徴だけでなく低気圧活動とその環境場,雲・降水過程についても共通点が多い可能性がある。今後,各種時空間規模,物理過程の観点から研究を進め,体系的に南岸低気圧を理解する必要がある。