抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
アルキルフェノール及びビスフェノールA(BPA)は,比較的疎水性が高いため,環境影響,特に,底生生物に対する影響が懸念されている。本研究では,神奈川県内のアルキルフェノール及びBPAの分配挙動を明らかにし,底生生物に対するリスクを推定することを目的とした。実験で得られた底質の固相率(Fsolidsed)は0.43~0.54m
3/m
3の範囲であった。底質固体の密度(RHOsolid)は1,900~3,300kg/m
3であった。上流域の底質粒子は,下流域の底質粒子より大きさが大きかった。溶出試験で得られた水溶液のpHは,6.6~7.5の範囲であった。これらの値とアルキルフェノール及びBPAの分配性に有意な関連性はなかった。実験で得られた底質の固相成分と水との分配係数(Kp(exam))は,底質の強熱減量が高いほど高くなり,両者の間に有意な相関があった。4tOPの底質における無影響濃度(PNECsed)については,ユスリカの毒性値28,000μg/kg-dryを不確実係数(UFs)100で除して280μg/kg-dryが得られた。4NPのPNECsedについては,ユスリカの毒性値21,000μg/kg-dryをUFs 100で除して210μg/kg-dryが得られた。BPAのPNECsedについては,ミミズの毒性値22,000μg/kg-dryをUFs 50で除して440μg/kg-dryが得られた。4tBPについては,底質の有害性データは得られなかったため,Kp(exam),RHOsolid,Fsolidsed及びPNECwaterから推計した。4tBPのPNECsedは,33~810μg/kg-dryの範囲であった。PNECsedと測定した環境濃度により神奈川県内の底生生物についてスクリーニング的に環境リスク評価をしたところ,本研究で対象としたアルキルフェノール及びBPAについては,現時点では底生生物に悪影響を及ぼすことはないと考えられた。(著者抄録)