抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本稿は,「人間生活工学」の趣旨,即ち,「人を見つめ,豊かで快適な暮らしを考える」ための1つの方法・手段として,被災地に暮らし,学び,将来の防災に活かすためのフィールドワークを紹介している。「もし被災したら私はどうなるのか」といった災害像を想起あるいは追体験させ,一人ひとりの防災意識や態度,行動に繋げていくことは喫緊の課題である。東日本大震災のフィールドワークを通じて,被災地の再建を担う中核者となる被災者の存在を取り上げた。地域の減災・再建の中核を担う人達に共通する点として,「過去の経験を真摯に学んでいる」点が,挙げられる。「地域の総意や願いを叶えるためにどうすればよいか」という困難な局面においても,過去に被災経験のある外部支援者から「あの時,どうやって乗り切ったか」に関する知識や知恵,ノウハウを上手に獲得していた。被災地に暮らすフィールドワークでは,被災者と調査者という異なる境遇にある者同士が,互いに主観をぶつけあい,「被災するということ」を客観的かつリアリティを持って描き出すことができる。災害を乗り越えてきた経験者らの表象化されない知識や知恵,ノウハウが含まれ,経験のない者への理解と共感を促す生きた教材に成り得るものと考えている。