抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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サツマイモ品種「こなみずき」の澱粉製造において,塊根磨砕物のpHを変えて調製した澱粉の白度や粘度特性等を測定し,pH調整が澱粉の品質に与える影響を調査した。モデル実験では,「こなみずき」塊根を磨砕した磨砕物に水酸化カルシウム[Ca(OH)
2]飽和水溶液を添加してpHを6.4~9.0の範囲で調整してから澱粉を調製した。無添加のpH6.4で調製した澱粉は白度が84.9であるのに対して,弱アルカリ(pH7.8~9.0)で調製した澱粉は白度が87.3~88.3と向上した。一方,RVAによる粘度上昇温度は58.4~59.9°Cの範囲にあり,また澱粉ゲル(わらびもち)や澱粉糊液の付着性や粘弾性においても大きな変化はなく,pH調整が澱粉の粘度特性や物性に与える影響は認められなかった。次に,澱粉製造工場における磨砕工程にpH調整を適用した結果,塊根磨砕後のpHを8.8に調整して製造した澱粉は91.7と高い白度の値を示した。また,磨砕工程でのpH調整が澱粉の粘度特性に与える影響は小さく,澱粉白度が向上した澱粉はポリフェノール吸着量の目安となるアルカリ着色度の値も低かった。これらのことから,栽培環境のストレスによりポリフェノール含量が高まった「こなみずき」塊根であっても,磨砕工程のpH調整によって澱粉へのポリフェノール吸着が抑制され澱粉白度を向上できることが明らかになった。(著者抄録)