抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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我々は気球に高張力繊維の菱形の目の網をかぶせる手法をもちいて長時間飛翔が可能な軽いスーパープレッシャー気球の開発を進めている。この手法には気球重量を同体積のゼロプレッシャー気球と同程度とできる利点がある。我々は大重量を搭載できる大型のスーパープレッシャー気球の開発の一環として,1.網と網,網とフィルムをミシンで縫うことで結合する方法の開発,2.大重量の搭載機器を気球破壊用の引き裂き紐と干渉せずに吊り下げることができる尾部の構造の開発を行った。また,スーパープレッシャー気球に用いているポリエチレンフィルムが100日間におよぶ長時間飛翔に耐えるほど十分に小さいガス透過率を有することを確認した。これらの知見に基いて体積5,000m
3のNPB5-1気球を開発した。地上膨張試験を実施したところ,引き裂き機構と頭部構造の間のフィルムに応力集中が発生し,十分な耐圧性能が得られないことが判明した。網線長を3%短縮することでフィルムへの応力集中を緩和する改修を気球に施し,再度,地上膨張試験を行ったが気球が対称に展開せずに,十分な耐圧性能が発揮できないことが判明した。そこで,周方向はそのままに子午線方向が3%長いゴアを用いることとし,体積10m
3のNPB001-6気球の地上膨張試験で対称に展開することを確認した。この方法で体積2,000m
3のNPB2-1気球を製作し,地上膨張試験を実施したところ,対称に展開することが確認されると共に,破壊圧が1,040Paであることが判明した。これは,40kgのペイロードを搭載して高度22kmの上空を長時間飛翔させることが可能であることを意味する。長時間飛翔が可能なスーパープレッシャー気球の具現化は我が国では初めてとなる快挙である。今後,重量や製作時間を増やすことなくより高い耐圧性能が達成可能な構造,製法を開発すると共に,体積7,000m
3の気球を開発し,飛翔試験を通じて,大重量の機器を搭載して長時間飛翔が可能であることを実証する試験を実施する予定である。(著者抄録)