抄録/ポイント：
抄録/ポイント
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EWECS(Engineering Wood Encased Concrete-Steel)合成構造システムは,コンクリート,鋼材,および集成材から成る。EWECS柱とEWECS梁柱接合部の実験的研究では,EWECSの構造システムが良好で安定したヒステリシス特性を示すことが確認された。しかし,スラブを有するEWECS柱梁接合部の構造性能はこれらの研究で調べられていない。本研究では,構造性能を調査するため,スラブを有するEWECS柱-鋼梁の内部接合部のための静的載荷試験と三次元(3D)FEM解析を実施した。試験と解析のアウトラインと結果を本論文で説明した。1/2縮尺のスラブを有する4個のEWECS柱-鋼梁の内部接合部について試験を行った。調査した変数は,接合部パネルの鋼ウェブの厚さと柱鋼材の断面形状とした。鋼ウェブの曲げ降伏になるように設計された供試体BFとBFOは,厚いウェブを有した。他方,接合部パネルの剪断破壊となるように設計された供試体JSとJSOは,接合部パネルで薄いウェブを有した。さらに,供試体BFとJSはH形鋼の柱を有し,供試体 BFOとJSOは十字形の鋼柱と横方向鋼梁を有した。接合部パネルの剪断破壊は供試体JSで発生した。梁の曲げ破壊は供試体BF,BFO,およびJSOで発生した。梁の曲げ破壊があった供試体BF,BFO,およびJSOの最大耐力はほとんど同じであった。パネルの剪断破壊があった供試体JSのそれは,梁の曲げ破壊があった供試体のそれより低かった。破壊モードにかかわらず,最大耐力の後に全ての供試体の剪断力がゆっくり低下することが確認された。重ね合わせ強度理論によって計算されたスラブを有する鋼梁の曲げ強さと,Ref.6)での提案によって計算された接合部パネルの剪断強さは,すべての供試体の試験結果と一致した。しかし,十字形鋼柱を有する供試体JSOの極限強度評価による破壊モードは,実験結果のそれと一致しなかった。その上,パネルの剪断強さの評価方法はスラブの効果を考慮に入れなかった。剪断と層間変形角の関係と接合部パネルの鋼ウェブの応力遷移に関する解析結果は,すべての供試体の試験結果と良い一致を示した。解析結果から,鋼材からの拘束効果にかかわらず,スラブコンクリートから伝達される圧縮力に因り,接合部パネルのコンクリートに高い圧縮応力が発生することが示された。さらに,梁の両側と低い柱への剪断力は,接合部パネルの鋼フランジで大幅に減少した。他方,上側柱のそれは,スラブの上端から梁の上フランジまでで大幅に減少した。したがって,接合部パネルの有効な深さと高さは,それぞれ,柱における鋼フランジの図心間の距離,およびスラブから梁の下フランジまでの図心間の距離であると仮定した。有効幅は,圧縮を受けるスラブ幅の効果を考慮し,Ref.8)の方法によって仮定した。SRC構造のための解析結果に基づくパネルの剪断強さ修正AIJ標準により,H形鋼柱を有するスラブ付きEWECS柱梁接合部の最大耐力が評価できた。(翻訳著者抄録)
