抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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鉛プラグ入り積層ゴム支承(LRB)が長周期特性と強震動を伴う長周期地震によって繰り返し大変形を受ける場合,鉛プラグが発熱して,LRBのエネルギー吸収性能が低下することが示されている。LRBには2つのタイプがある。すなわち,1つの鉛プラグを有するシングルプラグLRBと2つ以上の鉛プラグを分散させたマルチプラグLRBである。マルチプラグLRBは,シングルプラグLRBと比較して,鉛プラグの全せん断面積を変えることなく,鉛プラグの表面積を増加させることができる。言い換えれば,鉛プラグの基本的なせん断抵抗を変えることなく,その放熱特性を改善できる。地震時のエネルギー吸収に及ぼすLRBの分散型鉛プラグ配置の有効性を明らかにするために,動的および繰返し載荷実験を様々な形状の実大マルチプラグLRBとシングルプラグLRBについて行った(図1)。実験結果は,エネルギー吸収性能が鉛プラグの直径が大きいほど低下する傾向があること,また,マルチプラグLRBがそのような性能低下を抑制することを示した(図2,3)。ゴム層の全厚さはエネルギー吸収にほとんど影響しないことも確認した(図4,5)。マルチプラグLRBの熱力学相互作用解析を行うためには,通常,三次元モデルを用いる必要があるが,この方法はモデルを作成するための多くの努力を必要とし,計算時間が長い。したがって,本研究で著者らは,マルチプラグLRBのために簡易な解析法を提案して,鉛プラグ間の熱的相互作用が小さいことを示した。著者らは,繰返し載荷試験によってマルチプラグLRBの鉛プラグ間の熱的相互作用を確認して,鉛プラグの数によって分割した試験体についても実験を行った(図12)。その結果,マルチプラグLRBの鉛プラグ間の中心に位置する試験体内部の温度上昇はわずかであり,分割後の試験体の実験結果は分割される前の試験体のそれらに一致した(図13~15)。鉛プラグ間の熱的相互作用はマルチプラグLRBではほとんど発生しないため,鉛プラグからの熱散逸経路を簡素化することによって計算する定熱流束解析手法(CFS)はマルチプラグLRBの熱力学相互作用解析に適用できると考えられる。さらに,分割した試験体を等価円形モデルに置換することによって,二次元有限差分法(FDM)モデルをマルチプラグLRBに適用できる(図16,17)。以上から,マルチプラグLRBについて,著者らが鉛プラグの降伏応力のために提案した評価式(方程式(1)~(3))を用いてCFS解析とFDM解析を行った。その結果,著者らは,両方の解析法がマルチプラグLRBの実験結果を正確に予測することを確認した(図18~23)。上記に基づき,著者らは,長時間にわたるLRBの繰返し変形によるエネルギー吸収の低下は分散型鉛プラグ配置によって改善できることを明らかにした。(翻訳著者抄録)