抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本稿では,ベラルーシを事例として,チェルノブイリ法と国家計画が果たした農業復興について考察した。第1に,Lukashenko大統領はヨーロッパ最後の独裁者と揶揄されながら,ロシアと中国とは密接な関係を続け,現在も独裁体制を維持し続けている。第2に,ベラルーシは,酪農品と畜産物の輸出によって農業の貿易収支は黒字化している。同国では,チェルノブイリ法に基づいて汚染地域を区分けし,汚染面積と住民数を把握した。そして,住民の内部被曝が年間1mSvを超えないように食品内の放射性物質の規制値を定め,汚染穀物は家畜に摂取させ,住民は肉類を摂取するように指導した。第3に,国家予算に占める損失額は,原発事故当初から第1次国家計画までは農業の割合が,第2次国家計画では汚染地域の除染の割合が高かった。しかしながら,第3次国家計画では農業分野の防護措置に努めた結果,農畜産物の放射性核種濃度が激減した。第4次国家計画では,動物用薬剤や特別配合飼料の製造・供給体制が整ったことで,汚染地区が減少し,農業復興が果たされた。第5次国家計画では,高レベル汚染地域が残っていく現状も見据えて,汚染地域の管理体制を最適化し,かつ汚染地域を自然保護区とし,持続的発展に取り組んでいる。ベラルーシは,チェルノブイリ原発事故後,チェルノブイリ法によって汚染地域を管理し,また放射性物質の規制値を定め,国家計画によって段階的に農業復興を果てしていった。(著者抄録)