抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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短期間の貯蔵や流通の過程で,清酒に発生する劣化臭に老香(ひねか)がある。清酒の品質保持のために劣化臭のみを除く技術が望まれているが,従来から用いられてきた活性炭には吸着の選択性がないために,劣化臭だけでなく吟醸香も除いてしまう課題があった。筆者らは,老香の原因物質である1,3-ジメチルトリスルファン(DMTS)を選択的に除去するシリカ担持金ナノ粒子吸着剤を開発し,モデル溶液だけでなく清酒からも吟醸香を残して,老香のみが除去されることを機器分析と官能評価の両面から実証した。その際に,金ナノ粒子上へDMTSは単分子層吸着し,Langmuir式が成立した。飽和吸着量と金ナノ粒子の被覆率を見積もったところ,Au/S原子比が1/1で吸着していることが明らかとなった。そこで,シリカ上に微小な金ナノ粒子を担持するための実用性の高い前駆体としてβ-アラニンを配位子とした金錯体を新たに合成した。金-β-アラニン錯体の構造をX線吸収微細構造,熱重量示差熱分析などにより解析したところ,3価Auに2座配位のβ-アラニン1分子とヒドロキシ基2分子が配位した平面4配位構造であった。また,金-β-アラニン錯体は塩化物イオンを含まず,一般的に用いられる前駆体である塩化金酸よりも還元温度が約30°C低いことから,金原子の凝集が抑制されて,シリカ上に3nm以下の粒子径で金ナノ粒子を担持することができた。(著者抄録)