抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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ウメ果実ではその成長とともにPA含量が増加し,特に種子(核)においては成熟後期に急激に増加し,そのPAの約9割が核に存在していた。梅酒の原料となるウメの新鮮果実の主要なEPAとしては,単量体とB型の二量体から四量体,A型結合を含む二量体から三量体のオリゴマーの構造が推定された。A型結合を含むEPAオリゴマーの存在はウメ果実のEPAの特徴であると考えられる。梅酒はウメ果実を原料とするリキュールである。梅酒には約16μg/mL(DMAC法)のEPAが含まれていた。これは他のリキュールで報告されているPA濃度と比較して低いレベルであった。梅酒には原料果実から単量体やEPAが溶出しており,主要成分として単量体である(+)-カテキン,(-)-エピカテキンと2量体であるプロシアニジンB2,A型結合を有する3つの2量体を定量することができた。梅酒と漬梅における主要成分含量の原料果実との比較や果実を果肉と種子に分けて調製した梅酒の分析結果から,原料果実中のEPAは含量の高い核から果肉を通過して梅酒に溶出していることが示唆された。また,梅酒と漬梅に残存するEPA含量の合計は原料果実に比較して大きく減少し,同時に漬梅におけるNEPA含量が増加していることから,EPAが梅酒加工の途上でNEPAに変化したと考えられた。本研究でEPA含量の減少をNEPA含量の増加で説明できなかったのはNEPAの定量法が最適化されていないことが原因と思われる。これを解決しウメの加工工程で起こるPAの構造変化を把握することは,ウメ果実の加工による機能性や物性などのコントロールに繋がり,梅酒などのウメ加工品にさらなる魅力を与えることができると期待している。(著者抄録)