抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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COVID-19の蔓延を防ぐための対策として,2020年3月から日本では多くの企業から在宅勤務が推奨されている。COVID-19のパンデミックが終わった後も,在宅勤務を含むテレコミューティング実施率は上昇し続ける可能性がある。本研究の目的は,COVID-19への対策として2020年4月から在宅勤務を導入した企業の個人の満足度と生産性に対する在宅勤務の影響を明らかにすることである。在宅勤務と職場勤務の効果を比較するため,普段は活動型の職場勤務をしている労働者を対象にアンケート調査を実施した。調査対象は日本の千葉県にある研究開発機関の職員であった。約210人の従業員が施設で働いており,そのうち85%が研究者で,15%が事務職である。本研究では,3つのアンケート調査の結果について説明した。2020年2月の「従来の職場勤務期間」,2020年4月の「在宅勤務推奨期間」,2020年7月の労働者が仕事に行くか自宅で仕事をするかを選択できる「在宅勤務と職場勤務の併用期間」に調査を実施した。調査結果から,家庭の労働環境には個人差が大きく,照度やCO
2濃度が「オフィスの健康基準条例」の基準から外れていることが多いことがわかった。大きな違いのある環境にもかかわらず,熱環境,空気質,音の満足度は家庭でかなり高かった。また,在宅勤務の場合,室内環境の管理に対する自己効力感が高まることがわかった。これが在宅環境への満足度が高まった理由のひとつと考えられる。在宅勤務のメリットとして,ほとんどの事務所労働者が「コロナウイルス感染リスクの低減」を選択した。次に,回答者の半数以上が「通勤ストレスがない」「ドレスコードが少ない」をメリットとして選んだ。一方で,「対面コミュニケーションの欠如」が在宅勤務の最大のデメリットとなった。対人コミュニケーションの満足度は,職場よりも自宅の方が有意に低かった。特に,インフォーマルコミュニケーションの満足度の低下が大きかった。労働者がオフィスや自宅でしか働けなかった時期と比べて,どちらも比較的自由に選べる時期は,職場環境への満足度が大幅に向上し,オフィス活動の難易度が低下した。また,在宅勤務の頻度と通勤時間との間に高い相関関係が見られた。通勤時間が長い労働者は,自宅で働く頻度が高い傾向があった。また,在宅勤務の頻度が高いほど,在宅勤務環境への満足度が高いことが確認された。理想的な在宅勤務率に対する回答が最も多いのは週2回であったが,実際の割合は7月に実施した調査ではわずか25%であった。業務をより効率的に進めるために,従業員が来社することを選択した状況が多かったと考えられる。(翻訳著者抄録)