抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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近年,被災地の野外に配置した複数のセンサ(端末)が相互に地形変動や温度変化等のセンサ観測情報を交換することにより,観測の高い精度と迅速な情報共有を実現するセンサアドホックネットワーク実現の期待が高い。本論文では限られた無線リンクを有効に活用してセンサ観測情報を交換する階層型Network Coding(NC)方式を提案する。NC理論は符号化とルーティングを組み合わせることにより,Max-flowを実現するグラフ数学の考えである。この理論をセンサアドホックネットワークに応用することにより,無線伝播の広報性によるメッシュ状のリンク(リンク集合)を駆使して高効率な通信を実現できる。しかし,現実のセンサアドホックネットワークでは,複雑なリンク集合による制御パケット量,および中継端末が複数リンクから入力するデータパケットを符号化してルーティングする処理負荷が大きい。これらはデータパケットに欠落を発生させるため,理論どおりのスループット向上が実現できない原因となる。提案方式は端末が静的に配置される計画的ネットワーク運用であることを前提に,NC準備段階とNC通信段階を分離した静的NC通信手順を実現する。NC通信段階ではトポロジをグループに分割して管理する階層制御により,各端末が保持する管理情報を軽減して制御パケット量と処理負荷を軽減する。また,部分的なリンクに限定した再送制御によりデータパケットの欠落を抑制する。64端末を被災地に配置する構成でシミュレーションを行い,提案方式の適用により,ほぼパケット欠落のないスループット約2.2倍を達成した。この結果から,NC理論を応用したアドホックネットワークに実現性があることが確認できた。(著者抄録)